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〜 (番外編)「唄う会」の人々 〜
指揮者:高橋 英男
 過去2回に話題として登場した「唄う会」について、「どんな会だったの?」という声が一部から寄せられました。今回は、それについて書いてみましょう。
 主宰者は、川喜田 敦氏で、現在は2代川喜田半 泥子として、陶芸の芸術家としてご活躍中です。ちなみに、私も湯飲みなど数点を所有しております。川喜田さんの作品には「宇宙」があります。見せていただくたびに、その魅力に引き込まれ2時間くらい見ている私です。
 川喜田さんは、学生時代法政アリオンコールの学生指揮者をされており、そのころから田中 信昭先生の音楽に魅了されていらっしゃったようです。その縁で、毎年夏に、ある曲を決め、その曲を田中先生と共に創り上げるという会を開催されたようです。もっとも、その土台として、新潟県の連盟が主催していた「合唱団佐渡」という講習会があったとの事を聞いています(その時代には、今をときめく栗山氏も参加されていたとのこと)。「講習会(習う)」より「創造」をと言うことだったのでしょうか。そのことは、詳しくは知りませんが、現実的にはそういう内容になっていたように思われます。
 参加者の資格は「指揮者と1対1で対決する気迫」「全日程参加」「譜読み完了で参加」でした。一つ目が、重要なポイントで、「田中先生の下でウタッタコトガ有ります」ということを言いたいがために参加するのはお断りということでした。「指揮者と対決するくらいの気迫」という辺りに、会の目的が出ているような気がします。
 また三つ目も非常に重要で、最初の練習で準備不足が誰にでもわかるような失敗をすると、田中先生から「お帰りの電車は何時?」という声が出るわけです。(最初の年、この言葉を聞いた時、それが自分に向けられたものでなくてもビビッた記憶を失っていません。
 さて、この私は、1979年から1984年(唄う会はじめてのコンサート)まで参加していました。その後、NHKコンクールの日程と重なってしまい、残念ながら参加できなくなりました。今は、この会はありません。
 本題まで大分時間が掛かりましたが、「『唄う会』の人々」について書いて見ましょう(五十音順、1983年・1984年にご一緒した方で、合唱界でご活躍の方中心に)。
  ※登場される皆様へ
   失礼無きようにいたしますが、万が一の場合は「おしゃべり高橋の
   バカめ!」とお思いになり、他意はないものと、お許しください。
秋島 光一さん 東京混声合唱団の現コンサートマスターをされています。1984年だけのご一緒。東京文化会館でお目にかかった時に、「覚えてらっしゃいませんよね」とお声をお掛けしたら、「あ〜あ、だんだん蘇って来ました」とのことでした。名刺をお渡しして、イクトゥスのCMをさせていただきました。
飯倉 貞子さん コンクール全国大会の常連団体、大分ウィステリアコールの指揮者をされています。何回かお話しましたが、若々しい感性をお持ちの方です。
江上 孝則さん 合唱指揮者。1983年だけのご一緒。直接お話をした記憶がほとんどありませんが、車山での記念撮影で一緒に移っていらっしゃることは確か。来年度(平成16年度)千葉県お母さんコーラス・フェスティバルの選考委員として、千葉にいらっしゃるということを聞き、お会いできるのを楽しみにしています。私のことは、多分覚えていらっしゃらないのでは・・・。
片山 みゆきさん 全国的にご活躍中の合唱指揮者です。グレゴリオ聖歌の研究も本場でされて、イクトゥスでも以前ご指導を仰いだことがあります。以前は「みゆきさん」「高橋君」と呼びあっていたのですが、最近は連盟行事など公式の場所でお会いすることも多くなり、「片山先生」と呼んでしまいます。
柿崎 泰裕さん 鶴岡土曜会の指揮者。実は、私の大学の先輩でもあり、間に一人の先輩を挟んで顔を覚えていただくことになりました。
鈴木 義孝さん 山形県の「合唱団じゃがいも」の指揮者。じゃがいもは、色々なジャンルの合唱曲に積極的に取り組んでいる、先進的な合唱団です。
谷 篤さん バリトン歌手。以前はオペラシアターこんにゃく座にも参加していました。今は、年に何回かのリサイタルをはじめ、東京藝術大学の講師、いくつかの合唱団の指導としても活動されてます。先日のリサイタルで、久々に声を聞きました。全曲暗譜という、熱意あふれるステージに感動しました。皆さんも、次回のリサイタルにはぜひ行きましょう。
寺嶋 陸也さん 作曲家。数年前のNHK全国音楽コンクール(合唱)の課題曲を作曲されました。こんにゃく座向けの曲もたくさん書いています。寺嶋さんが高校生の時にご一緒し、私の教え子が書いた詩に作曲されたこともあります(「三つのエスキース」)。この間谷さんのリサイタルでお会いした時に、「次回の演奏会に、もし寺島さんの曲を歌おうということになったら、ピアノ伴奏お願いしていいかな〜」と尋ねたところ、快諾をいただきました。「作曲者の伴奏で歌える」という、すばらしい経験が持てるかもしれません。
中沢 敏子さん カラコレス女声合唱団、水戸うらら女声合唱団などを指導される合唱指揮者。水戸二校時代の中沢先生に、「合唱部員を多く集める方法」について教えていただいたことがあります。「とにかく楽しいところであるようにし、それをアピールすること」というようなアドバイスをいただきました。
野本 立人さん バリトン歌手。合唱指揮者。合唱人集団「音楽樹」で、Tokyo Cantatの研修担当責任者をされています。合唱団「ひぐらし」の指揮者。若い時から、非常に知的な印象を、私は持っていました。2年前にTokyo Cantatのホグセット先生の講座でお会いして、私が野本さんの合唱団に入れていただこうか、という話になりましたが、我らがイクトゥスの復活でその話は立ち消えになってしまいました。
羽根 功二さん 現三重県合唱連盟理事長。三重ヴォークスボーナ、名古屋混声合唱団などの指揮をされている合唱指揮者。唄う会コンサートの時の「嫁ぐ娘に」のバリトンソロは、練習の時からのことを含めて忘れられません。 
向井 正雄さん 私と同じで、音楽の教師ではないのに(彼は数学)、音楽に入り込み、いまやライフワークにしてしまった人。向井さんの音楽への情熱は、私などの比ではありません。彼のホームページをご覧あれ。このところ、コンクールの全国大会の常連団体になり、金賞の常連団体になりつつあるVocal Ensemble《EST》の常任指揮者。宇治山田高校合唱部の指揮者としても、金賞受賞。すばらしいです。向井さんの隣りでよく歌い、「いい歌歌うな! 今度は自分が!」と、私が張り合っていたことを彼は知らないでしょう。(年賀状にも書いたことがない)。
吉田 覚さん 知る人ぞ知る、三善晃先生に譜面を書き直させた男です。誤解されそうな表現なので、言い直すと、彼が「クレーの絵本」第1集のギター伴奏譜を、実際に演奏しやすい形に変え、それを改訂版から三善先生が採用したということです。彼の歌心は人の心を打つものがあり、そのバリトンは私もほれました。しばらく音信不通状態になってしまっています。どうしていらっしゃるかな〜。

 以上が、「唄う会の人々」でした。

2004-2005合唱団イクトゥス