Blue line Design
〜 「歌う環境」について 〜
指揮者:高橋 英男
 今回は、歌う環境というものについて書いてみます。
 皆さんには次のような経験がありますか。
  @以前歌いにくく感じていた部分が、ある所で歌ったら突然歌いやすく
   なった。
  Aいつも出せなかった高い音域(低い音域)が、ある時出せた。
  ……
 などというものです。
 もちろんこの理由を、1点のみに絞ってしまう気はありませんが、理由の一 つに、それが出来た日の「音楽環境」というものがあると思うのです。
 もう少し具体的にいうと、「歌う喜びを感じている集団に入って歌ったら、出来てしまう。」「団員をその気にさせる指揮者のもとで歌ったら出来てしまう。」ということです。それが、私の言っている「音楽環境」というものです。
 私にも経験があり、前回にも出てきた「唄う会」で「五つの童画」(作曲:三善晃)を歌った時の記憶は今でも鮮明です。「どんぐりのコマ」の終曲部に「A?」を「ff」で「2小節間?」求められるところがあります。田中先生の「そこは、そこまでの曲の流れの中から、どうしてもffで歌いたくなりませんか?」(正確ではありません。もし、これを読んだ「唄う会」参加諸氏がいらして、記憶のある方は教えてください!)という言葉を聞き納得した私は、共感を持って歌いました。すると思いがけず「良いff」が出てしまったのでした。そして、不思議なものでそこは今でも(多分)歌えるのです。DNAになっているのですね。
 また、その仲間達はとにかく「歌うことがすきで探究心旺盛な人達」でしたので、他のメンバーの歌から刺激を受けて自分が変わるという経験をすることが随分ありました。「歌いながら高めあう」環境に「また来年も来よう…」と思えるのでした。
 さて、日常的な活動をしている合唱団を同列に考えるのは難しいかもしれませんし、私自身も田中先生の足元にも及びません。しかし、歌に参加するときは、その心は「いつも良い音楽を求める心」「音楽を楽しむ心」をもっていたいと思うのです。そういう音楽環境作りは「合唱団員一人一人」「指揮者自身」が積極的に作っていかなければ生まれないものですから。

2004-2005合唱団イクトゥス